2月4日(土)、GENスポーツパレス・メディアセンターで、2月24日(金)に東京・新宿FACEで開催される『ZST.55』に関する記者会見が行なわれた。
2017年初開催となる今大会は、昨年のZSTを牽引してきたフライ級王者の伊藤盛一郎(リバーサルジム横浜グランドスラム)が、昨年末に負った網膜裂孔も完治し、4月の『RIZIN』への出場交渉を含めた準備のために、またバンタム級王者の柏﨑剛が連戦で負ったケガの治療に専念するために、揃って欠場することに。今回は“二大エース”を欠く形での開催となるものの、それを補うべくZSTらしい興味深い対戦カードが並んだ。
まず、フェザー級ワンマッチでは関鉄矢(SONIC SQUAD)と直斗(総合格闘技宇留野道場)が激突。フェザー級戦線で勢いを見せ、ベルト挑戦をアピールしている関は、「去年1年で格闘技に対する気持ちや姿勢に変化があった。今まで他のスポーツは努力しなくてもそれなりにこなせていたのに、格闘技では挫折を経験して、本気になってみようと思った。それを今回は形にしたい。対戦相手は同世代でありライバル意識もあるので、判定なしで決着をつけたい」と、必勝を宣言。
対する直斗は、かつてZSTで活躍した清水俊一&俊裕の実弟(三男)であり、今回のZST本戦初出場について、「お兄ちゃんが出ていた頃から見ていたので、凄くうれしい。お兄ちゃんからは『いつもどおりやってきな』と言われた。ZSTらしくしっかり一本取って勝ちにいきたい」と、こちらも勝利をアピール。
それぞれ対戦相手について、「試合は観たことないが、耳が沸いているのでグラウンドに引き込まれないようにガンガンいく」(関)、「リーチは負けると思うので、距離感が大事」(直斗)と、その印象を語った両者。二十歳同士のフレッシュな対決は、フェザー級戦線をさらに活性化させることだろう。
また、フライ級ワンマッチでは上田貴央(パラエストラTB/GSA)が、田丸慶輔(総合格闘技宇留野道場)と対戦。昨年4月の『ZST.51』での柏﨑戦以降、勝ち星から遠ざかっている上田は「今年は勝ちを重ねる年にしたい。田丸選手はZST本戦に出た大会が自分と同じ。そのときは相手をKOしていたので警戒したい。あと田丸選手は“足関一休さん”というフレーズを持っているので、当日はすね毛を全部剃っていきたい」と、斬新な足関対策を公言。
これに対し、2013年の『ZST.35』以来、ひさびさの参戦を果たす田丸は、「いい試合ではなく、一本かKOを狙っていく。(足関対策で毛を剃るのは)むしろ、ピッタリするので止めたほうがいいと思う」と牽制。そして、上田について「見た目どおりに華しかないので、その華を消してあげたい」と、物静かな口調で内なる闘志を見せた。
すると上田は、「やっぱり剃るのはやめる(笑)。あと、今年は華だけじゃないのを見せたい。ポテンシャルの高い田丸選手を倒して、実力と華の両立を目指す。同じ階級のチャンピオン(伊藤)が不在になるので、僕が一番輝いて彼の帰りを待つ」と、負けじと応戦。
「勝つためにZSTに戻ってきた」と語る田丸と、「2017年のZSTは違うというのを見せたい」と迎撃態勢を見せる上田。実力者同士の果し合いは、フライ級戦線の今後を占う一戦となりそうだ。
そして、今大会では第二代ZSTライト級王者の平信一(綱島柔術)が、ZST本戦初出場となる高橋了介(リバーサルジム横浜グランドスラム)とノンタイトル戦で対決。昨年11月の『ZST.54』で下馬評を覆し、藤巻優からTKO勝利を収めてベルト初戴冠に成功した平は、会見場にコスチューム姿でベルトを肩に掛けて登場。
そして、おもむろに「今年の目標は・・・」と話し始めると、筆で“ボブ・サップ”と書かれた紙を掲げる。平のいつもどおりの暴走ぶりに、やや戸惑う取材陣を見て、ZST実行委員会は「『ZST.54』の試合後、平選手は『RIZIN』でのサップ戦をアピールしたが、お声は掛からないと思うので、ZSTで目指していくことになった」と、平の“ROAD TO ボブ・サップ”をバックアップしていくことを表明。
その第一戦の相手となる高橋は、キャリアこそ浅いものの、足関に秀でたものを持ち、所属ジムの勝村周一朗代表も「コントロールが難しい」と語る暴れん坊。平にとっては危険な相手が用意された形だ。
今回の試合について、抜擢をうけた形の高橋が「勝村さんから電話が来て、おいしいからやるってだけで。まあ、うまいこといけばいいかな」と、ただものではない雰囲気を感じさせながら語ると、対する平は話と脈絡なく、「11月、ボブ・サップを投げる」とキッパリ。
思わず実行委員会が「高橋戦については?」と促すと、平は「高橋選手・・・僕と無差別級でやりませんか?」と、唐突にアピール。すると、高橋は「はい、じゃあ、やります」と、なんとアッサリ呼応。二人の不思議なやりとりに、戸惑いが増す取材陣。さらに高橋は立ち上がり、「さっき、これを出せと言われたんですけど」と、平に対抗するかのように“生命の尊重”と書かれた紙を掲げると、会見場はさらに不思議な空気に。
続いて質疑応答となり、互いの印象について聞かれた両者は、「ウチのボスの勝村さんが、(平選手について)意地悪して教えてくれない。『裸だな』くらい」(高橋)、「まったくわからないんで、とにかく投げる」(平)と、共にマイペースにコメント。
さらにサップ戦を目指す理由を問われた平が、「おもしろいから」の一言で片づけると、なぜか高橋も真顔で「僕もサップとやりたい」と言い出し、会見場はより一層カオスな状態に。まるで不条理コントのような応酬を繰り広げた制御不能の男たちは、いったいリング上でどんな戦いを披露するのか、注目が集まる。
【新規決定対戦カード】
ZSTルール/フェザー級/5分2ラウンド
関 鉄矢(SONIC SQUAD) vs 直斗(総合格闘技宇留野道場)
ZSTルール/フェザー級/5分2ラウンド
橘川 尋貴(和術慧舟會駿河道場) vs 松本 大輔(IMN グラップリング)
ZSTルール/バンタム級/5分2ラウンド
諏訪部 哲平(和術慧舟會駿河道場)vs 松下 祐介(パラエストラTB)
【既報対戦カード】
ZSTルール/ライト級/5分2ラウンド
平 信一(綱島柔術) vs 高橋 了介(リバーサルジム横浜グランドスラム)
ZSTルール/フライ級/5分2ラウンド
上田 貴央(パラエストラTB/GSA)vs 田丸 慶輔(総合格闘技宇留野道場)
ZSTルール/ウェルター級/5分2ラウンド
白鳥 竜彦 (FACT MMAアカデミー)vs 久保 輝彦(禅道会諏訪松本支部)
※西坂竜彦よりリングネームを改名
ZSTルール/フェザー級/5分2ラウンド
川村 謙(リバーサルジム東京スタンドアウト) vs 平田 真徳(ALLIANCE)
(選手のケガ等により、対戦カードが変更となる場合があります)