11月22日(日)東京・ディファ有明にて「ZST.49 -旗揚げ13周年記念大会-」が開催され、柏﨑剛と加藤惇のZST史上初となる現役王者対決を中心に激闘が続出。全12試合中8試合が一本・KO(TKO)決着となった。
メインはバンタム級王者の“ZST新世代のエース” 柏﨑が、二階級制覇を目論むフェザー級王者の加藤を迎え撃った王座防衛戦。1R、開始と同時に柏﨑は鋭い左ハイを繰り出し、ヒットはしなかったものの場内をどよめかせる。中盤に加藤の左ジャブを被弾するも、柏﨑も積極的に打撃を繰り出し、コーナーに追いつめると組みついてテイクダウン。そしてパウンドを落としてダメージを与えていく。
2R、柏﨑はフェイントを織り交ぜながら加藤に組みつくと、1Rのようにコーナーでテイクダウン。加藤が立ち上がろうとするたびに柏﨑はヒザ蹴りを叩きこみ、うまくコントロール。着実に相手のスタミナを奪っていく。
3R、動きの落ちない柏﨑は、加藤の打撃を潜り抜けると、しつこく組みついてテイクダウン。そして、パウンドを当てながら一瞬のスキをついてバックに回ると、渾身の力でスリーパー。これに加藤がタップアウトし、柏﨑が王座初防衛に成功した。
今回で破竹の14連勝を飾った柏﨑は、試合後にマイクを握ると「今日は言いたいことがあります。たしかにZSTは日本一強い団体とは言えないですが、日本一おもしろい団体と胸張って語れます。でも、それだけじゃ満足できないから、年末のRIZINにZST代表で出たいです」と、リングサイドで観戦していたRIZIN首脳陣に出場をアピール。場内も大歓声でこれを後押しした。
大会後、柏﨑はバックステージインタビューで、「もっと早い段階で倒したかった。あんまりおもしろい試合とは言えなかったですね。ちょっと勝ちにこだわっちゃいました。相手の左のパンチはイヤでした。8月の試合でも相手のオーストラリア人選手の左をもらったので、対策を練習していきます」と、試合を振り返った。さらにRIZIN出陣については「とくにやってみたい相手はいないですけど、とにかくその舞台に出て、みんなの記憶に残るような試合がしたいですね。それでZSTの名前が売れれば最高です。僕の夢はZSTを日本一の団体にすることなんで」と、その決意を語った。
セミファイナルでは坂巻魁斗が益田亮とZSTフライ級暫定王者決定戦で激突。当初、坂巻は今大会のメインで、伊藤盛一郎のフライ級王座に挑戦する予定だったが、王者・伊藤が練習中に鎖骨を骨折したため欠場。それを受けて今回、ZST実行委員会より選抜された現在3連勝中の益田と暫定王座戦を行なうことに。
1R、坂巻は開始早々に素早い低空タックルで益田を捕らえると、ヒールホールドを敢行。これはディフェンスされてスタンドに戻るも、再びパンチを出しながらテイクダウン。そしてヒールホールドから三角絞めに移行し、電光石火の一本勝ちをスコア。
試合後、暫定王者となった坂巻は「試合を受けてくれた益田選手に感謝します。ひさしぶりに三角が決められて気持ちいいです。これからもZSTの顔の一人としてがんばります。あと、ぱるる(AKB48の島崎遥香)がフォトブックを出したのでよろしくお願いします。映画(『劇場霊』)も公開したので、明日見に行きます」と、マイペースに“ぱるる愛”を織り交ぜながらマイクアピール。すると、王者の伊藤がリングインし、「本当のチャンピオンは自分なので来年ブッ倒します」と宣言。それを受けて坂巻は「ブッ倒されないようにがんばります(笑)。伊藤選手、ケガが治ったらいい試合をしましょう」と、王座統一戦に向けて健闘を誓い、伊藤と握手を交わした。
第10試合では今年5月に柏﨑に敗れ、6年以上保持していたバンタム級王座から陥落した
藤原敬典が、“The ギロチン”こと齊藤曜と仕切り直しの一戦。1R、藤原は得意のパンチを振るっていくが、齊藤はスタンド勝負を避けるようにグラウンドに引き込み、得意のギロチンを仕掛けていく。途中、齊藤が豪快な払い腰でテイクダウンする場面も。しかし、2R終盤では藤原の強烈な右フックが、齊藤の左目下部にヒット。すかさず、藤原はパウンドをまとめるが、齊藤はゴングに救われる。勝負の3R、齊藤は低いタックルで藤原をテイクダウンすると、粘り強いグラウンドでペースを握る。結果は判定2-0で齊藤が辛勝。実力者との一戦を制し、バンタム級戦線の台風の目として急浮上した。
第9試合の前には、RIZINで復帰を果たす“60億分の一の男”エメリヤーエンコ・ヒョードルが登場し、「いまから私の推薦するロシアの選手が登場します。かつて私に送ってくれたのと同じように、熱い声援をお願いします」とマイク。その“皇帝からの刺客”カマル・マゴメドフと対峙したのは、今年5月に濱岸正幸のウェルター級王座に挑み、判定負けを喫したものの、その打撃で存在感を見せた高橋弘。しかし、試合は1R開始早々、高橋との距離を詰めたカマルが、左ストレート一発で戦慄のKO勝利。
場内を震撼させたカマルは、「ドウモアリガトウゴザイマシタ(日本語で)。ヒョードル、そして招待してくださったウエハラさん(ZST代表)に感謝します。今回の試合で、今後も協力体制が強くなることを願います」とマイク。さらにバックステージで、ヒョードルが「カマルが勝つのを疑ってなかった。彼は王者になるポテンシャルを持っている」と、その実力に太鼓判を押すと、カマルは「自分は打撃だけじゃなく寝技も得意。ヒョードルさんが出る年末の大会に出場したい気持ちもあります」と、RIZIN参戦の意思を表明した。
第8試合では、かつてZSTのリングで活躍し、現在は大日本プロレスを中心にデスマッチファイターとして名を馳せる竹田誠志が、“最後の総合”として約7年ぶりに古巣に凱旋。さまざまな武道に精通している川和真と激突した。
ゴング前、デスマッチアイテムである蛍光灯の束を持って入場した竹田には、過去に初代ウェルター級王座決定戦で激闘を繰り広げた内村洋次郎から、激励の花束を手渡される。試合は竹田が川和の打撃をかいくぐり、タックルでテイクダウンすると、バックチョークから腕ひしぎ十字固めに繋いで秒殺勝利。試合後、マイクを握った竹田は「ZSTのみなさん、おひさしぶりです! 俺はデスマッチという非日常で、毎日血を流してリングに立っていますが、こういうスポーツライクなリングも楽しいです。でも、一度宣言したので、総合のリングにはもう上がりません。最後に勝てて最高にうれしいです!」と、男のケジメを見せた。
第7試合では渡部修斗が、フェザーとバンタムの二階級で王座挑戦経験のある強豪の倉岡幸平を、1R早々に裸絞めできって落とし、大きなインパクトを残した。渡部は試合後、「最後にバンタム級のベルトを巻くのは僕。メインで勝ったほうに挑戦します」と堂々のマイクアピール。
第6試合では修斗の世界ランカーである正城ユウキがZST初参戦。フライ級の中心選手である上原佑介とのスピーディな攻防を判定3-0で制し、次戦に期待を持たせた。
第5試合ではZSTグラップリング部門を牽引する“ミスター・イケメン”牧野仁史&太田裕之組が、初参戦となる初代CAGE FORCEフェザー級王者の星野勇二と、そのパートナーである“謎のマスクマン”エル・リバーサルと対戦。リバーサルは選手コールと同時にマスクを脱ぎ、その正体がかつてZSTで所英男と名勝負を繰り広げたことのある中原太陽と判明。試合は両チーム、一進一退の攻防の末、時間切れドローに。なお、牧野はこの一戦を最後に、ファイターとして1年間の休業を発表している。
第4試合ではプロレスラーとしても活動中のシバターと、ひたすら投げを狙う暴走スタイルの平信一による、異色ファイター同士の対決が実現。1Rは平がテイクダウンから、シバターにコツコツとパウンドを落として優勢。試合が大きく動いたのは2R。平のパウンドにたまらず場外エスケープしたシバターは、イエローカードを提示されると、試合再開と同時にプロレス技を試みようとしたのか、自らロープに飛ぶ。しかし、これをしのいだ平は豪快なジャーマンスープレックスを繰り出す。さらに追撃のジャーマンを決めると、シバターは動かなくなり、平が豪快なTKO勝利をゲット。
第3試合ではZST初参戦の芦田崇宏が川村謙を相手に得意の打撃でペースを握り、最後はパウンドでTKO勝利。
第2試合は、ここ2試合で連続一本勝利と好調の上田が、何やら闇を感じさせるネガティヴ系新世代ファイターの坂野周平と対戦。1R終盤、坂野がバックチョークから肩固めを仕掛けにきたところを、上田は一瞬のスキをついて腕ひしぎに切り替えし、貫禄の勝利を収めた。
第1試合ではハードパンチャー同士の森興二と藤巻優が激突。結果はドローに終わるも、互いに顔面から流血する乱打戦を展開し、場内を沸かせた。