8月23日(日)ディファ有明にて『ZST.47』が開催され、伊藤盛一郎がベルトを持つフライ級タイトルマッチや、前大会でバンタム級王者に輝いたばかりの柏崎剛の試合など、注目の試合が並び、全11試合中10試合が一本・KO決着となった。
メインイベントとなったフライ級タイトルマッチでは、王者・伊藤盛一郎が、ZST軽量級のパイオニアである矢島雄一郎と対戦。過去3度の王者戴冠のチャンスが訪れながら、一度もベルトを手にしていない矢島は、決死の表情でリングイン。序盤、両者がスタンドで打撃を打ち合いながらプレッシャーをかけ合う展開に。1ラウンド中盤、伊藤のキックが矢島の急所に入り、一時試合が中断する場面があったのものの、再開すると、次第に伊藤がペースを握り、フックからテイクダウンの素早いコンビネーションでグラウンドに持ち込む場面も。
さらに、3ラウンド中盤、伊藤がなおもテイクダウンを奪う展開となったが、意地を見せる矢島は、スタンドに戻すと、強烈なフック、ワンツーで伊藤をよろめかせる。しかし、これでスイッチが入った伊藤。お返しのフック連打を見舞うと、倒れた矢島に鉄槌の嵐。ここで、たまらずレフェリーストップとなり、伊藤は初防衛戦に見事白星を挙げるかたちとなった。
試合後にマイクを握った伊藤。「これからは、ZSTが日本で一番の団体と言われるように自分が引っ張っていくので、(矢島さん)安心してください。ZSTフライ級のベルトを狙ってる選手、何人かいると思うんですけど、あんまり舐めないでほしいです。もしやるなら徹底的に叩き潰すんで」と王者の風格を漂わせた。
セミファイナルでは、5月の大会でバンタム級王者に輝いた柏崎剛が、初の対外国人戦となるティレル・ホーガン戦を闘った。前チャンピオン藤原敬典から奪ったばかりのベルトを巻いてリングインした柏崎。序盤から柏崎が積極的にテイクダウンを狙う展開となり、グラウンドに持ち込まれたホーガンは下から反撃のパンチを繰り出すも、終止柏崎にコントロールされるかたちに。じりじりと有利なポジションへと移行する柏崎。最後はマウントを奪うと、パンチ連打からバックマウントへ移行し、最後は裸絞めで一本。
全般にわたって試合を支配し続けた柏崎。試合後は「本戦に出ている選手に一言。格闘技、遊びじゃないんで、もうちょっと本気になってください。てっぺんで待ってます!」と、王者らしいコメントで締めた。
第9試合で登場した期待の新鋭・坂巻魁斗は、シングルマッチで連続一本勝ちを継続する木内崇雅と激突。これまで、経験豊富な実力派のファイターからことごとく一本勝利を奪い、デビュー以来3戦3勝すべて一本を勝ちとってきた坂巻だが、木内からテイクダウンを奪い、腕十字や足関節を狙うも、意地を見せる木内にことごとく凌がれる展開に。2ラウンド、坂巻がテイクダウンを奪っては、ガードポジションからパンチを繰り出すという展開が続くが、最後はスタンドの殴り合いから坂巻の鉄槌で試合終了のゴング。終わってみれば、終止試合を優勢に進めた坂巻が判定3-0で勝利。試合後のマイクでは、自身が大ファンであるAKB48のぱるること島崎遙香の話に終止し、会場の動揺を誘った。
今大会唯一のグラップリングルールとなった第7試合では、牧野仁史が、ブラジルの強豪柔術家・ホブソン・タカノと対戦。2ラウンド開始早々、ダッシュでホブソンの足元に飛び込んだ牧野。優位なポジションへと移行を狙うホブソンだが、一瞬の隙をついてホブソンのかかをとキャッチした牧野。そのまま絞り上げ、電光石火の一本勝ちへ。「ZSTのグラップリングが一番強いことを証明したい」とマイクした牧野。自身が参戦した第二代GTタッグトーナメントでは1回戦敗退という思わぬ結果を招いたが、ここにようやく反撃の狼煙を上げるかたちとなった。
第5試合では、ここ数試合一本勝利が続いている絶好調の“体操のお兄さん”上田貴央が、岩手県釜石市で活動を続ける“カマイシ・スピリット”久保慎太郎と対戦。開始早々、久保の腕をつかんで強引にグラウンドに持ち込んだ上田。その後も上田がグラウンドに持ち込む展開となり、ガードポジションからパウンドを繰り出すと、久保とグラウンドでもつれる中、アームロックへ。そのまま一本が極まり、喜びを爆発させた上田。「去年5月に引き分けた現チャンピオン(の柏崎)、ボクと引き分けたままで王者を名乗るのは不本意だと思います」と、5月のタイトルマッチでベルトを奪ったばかりの柏崎との対戦に、いち早く名乗りをあげた。
そのほか、ケガで欠場した檜山勇斗の変わりに参戦した内田龍介からTKO勝利を奪ったティム・ゾシュをはじめ、伊澤寿人と対戦した藤巻優、二之宮徳昭と対戦した田村淳、川村謙と闘った太田洋平など、それぞれが一本・KO勝利を奪い、ZSTらしい結果が続いた今大会。
なお、次大会となる10月18日『ZST.48』では、ウエルター級王者・濱岸正幸が防衛戦を闘うことが発表され、その対戦相手は山田崇太郎に決定。発表後、リング上に姿を現わした濱岸。「山田選手とは、前々からいつかやるだろうなと思ってたので、来る日が来たなという気持ちです。試合に向けてしっかり調整しますので、応援よろしくお願いします!」と声高にアピールした。