5月24日（日）ディファ有明で開催される「ZST.46」。第二代GTタッグ王者決定トーナメント決勝戦を前に、一回戦で”チーム首狩一族”戸井田カツヤ＆齊藤曜組と対戦した”ミスター・イケメン”牧野仁史＆太田裕之組が、一回戦を振り返りつつ、決勝戦の見どころを解説。牧野＆太田組が語った戸井田＆齊藤組の特徴・強さとは何か？

——戸井田＆齊藤組と対戦して、いかがでしたか？

太田　相手はいきなりジャンケンで先発を決めてきたんで、ふざけてるのか、どちらが出てもいいと思っていたのか分からないんですけど、僕らはどちらが先発で出るかに合わせて担当を考えていたので、あれでちょっと先手を取られたかなと思いました。

牧野　僕も相手は色々と計算しているなと思いました。

——試合前にはどういった作戦を立てていたのですか？

太田　まず基本的には疲れたらタッチにしつつ、あまり疲れ過ぎないようにもしようと話していました。あとはタッチした際（きわ）ですね。タッチして相手が変わったら、すぐに極めにいくとか、そこは一つ考えていました。

牧野　そうですね。僕もそこで得意なカニバサミや足関節を狙おうと思っていました。

——牧野選手は戸井田選手と対戦したことがありますが、どんな印象を持っていますか？

牧野　あのチームは戸井田選手がリーダーで作戦を練っていて、齊藤選手はものすごく実力があるんですけど、しっかり戸井田選手の作戦通りに動いていたと思います。こっちが先手を取ってやろうと思ったのですが、なかなか思い通りにはいかなかったですね。

——太田選手は戸井田＆齊藤組をどう分析していたのですか？

太田　戸井田選手は戦いのペースを掴むのが上手くて、シングルでも行くところは行く、受け流すところは受け流す。そういった緩急をつけるのが上手いイメージがある選手です。そして齊藤選手は極めですね。ギロチンやアキレス腱固めのように腕を輪っかにして極めるサブミッションが強い選手だと思っていました。

——実際に2人と戦ってみてどうでしたか？

太田　戸井田選手はポジションを取っていても極めさせない上手さがありました。齊藤選手は僕とやった時には極めの形にまでは行かなかったのですが、体幹部の強さやテイクダウンの立ち力を感じました。

牧野　戸井田選手の感触は知っていたのですが、やはり力も強いし、固いところもある選手です。逆に齊藤選手は柔らかくて、攻撃型で柔らかい選手だと思いました。

——柔らかいというのは？

牧野　齊藤選手はギロチンなど力任せに見える技を得意にしているんですけど、相手をねじ伏せて極めるのではなく、スルスルと形に入って来るのを狙っているんですよね。

太田　何か固いものとガチっ！とぶつかり合うイメージではないよね。組手にも柔らかさがあって、でもその柔らかさの奥には体幹部の力強さがあるという感じです。

牧野　どうしてもそういうのは練習でも隠せないものなので、組むとどんな癖があるかも分かるんです。

太田　やはりグラップリングは相手と接触するので、組んでみると相手のことが伝わってきます。だからファーストコンタクトや数十秒動いてみると大体相手のことが分かります。

——勝敗のポイントはどこだったと思いますか？

太田　中盤まではいいペースだったんですけど、終盤のタッチワークですよね。僕らもあと1回タッチ出来たんですけど、それを残したまま終わってしまって。逆に相手は自分のコーナー付近で上手く戦って、僕らがタッチ出来ない場所で戦わされていたなと思います。

牧野（試合映像を見ながら）試合中は夢中になっているんで、こうやって客観的に見てみると試合前に考えていたことを忘れていたかもしれません。

——映像を見直して改めて感じることはありますか？

牧野　まず自分が4人の中では一際小さいなと思いますね。それを言い訳にするつもりはないですけど…もっと身体を大きくしないといけないです。

——それは力負けする部分があったということですか？

牧野　多少はありました。やはり力で圧倒しないと足関節は極まらないので。

太田　牧野選手を擁護するわけではないですが、グラップリングでは身体の大きさは大事な要素なんですよ。もちろん力の強い弱いはあるのですが、それ以上に相手が大きいと単純に大きいものを動かさなければいけないので、小さい選手にとっては大きい選手と戦うことが負担になるんですよね。

牧野　身体が小さくても柔術の技術を駆使すれば負けはしないけど、下になる時間が長くなりすぎたり、それは克服しなければいけない課題ですね。僕は戸井田選手に「ファイトスタイルを変えない限り勝てない」とはっきり言われたのですが、それは素直に受け止めています。フィジカルバカみたいな感じですけど、フィジカルは重要だと思うし、自分を変えなければいけないと思います。

——終盤には牧野選手と齊藤選手が足関節を極め合う場面もありました。

太田　僕のコーナーから見ていたら深く入っているように見えたのですが、上を取ってアタックしている回数は齊藤選手の方が多くて、そこが差になったのかなと思います。極めの深さで言ったら負けてないぞと思ったんですけど…どう？

牧野　そうですね。柔術の技術で凌いで一発を狙う感じだったんですけど、上になっている方が足関節は仕掛けやすいですよね。

——足関節の極まり具合はどうだったのですか？

牧野　回数は少ないですけどアキレス腱固めよりは内ヒールの方が。齊藤選手は深く入っても（最後に技を）入れさせない技術はすごいですね。足関節は相手の足が自分の両足に挟まらないと極まらないんですね。齊藤選手は自分の足が挟まる前に逆の足のつま先を入れて逃げていて、それを瞬時にやってきました。（齊藤にV1アームロックをかけられている場面を見て）これは結構強引なアームロックだったんですけどダメージありましたね（苦笑）。

太田（アームロックの攻防の後、齊藤が戸井田とタッチする）本当はここで変わりたかったんですけど、距離があるんでタッチしたくてもできなかったです。タッチさせてもらえなかったです。

牧野　ここで一旦引いて変わってもよかったんですけど、そんなこと考えてないですね。

太田　イケイケですね（笑）。

牧野（終了直前に戸井田に仕掛けた）このヒールも良かったんですけど…見ていると悔しくなってきますね（苦笑）。

——さて宇野薫＆植松直哉vs.戸井田＆齊藤の決勝戦はどんな試合になると予想していますか？

牧野　齊藤選手の技がどれだけさく裂するのかな？と思います。

太田　おそらく展開的には僕らとやった時と同じで、戸井田選手がペースを作りつつ、極めに行くのは齊藤選手かなと思います。対する宇野選手と植松選手はどちらもフォワードというか攻撃型の選手なので、宇野＆植松組はどちらがどちらの選手にハマるか？　戸井田＆齊藤組は戸井田選手が上手く相手をかわして齊藤選手が極められるか？　の勝負になると思います。

——キーマンは齊藤選手になりそうですか？

太田　全員だと思います。戸井田選手も適当にやっているように見えて（笑）、心理戦も含めて流れを変えるのが上手いですし、齊藤選手は極めの部分で攻めていくでしょう。そして宇野選手のアグレッシブな動きと植松選手のテイクダウンと極めの強さがどこでさく裂するのかなと思います。

牧野　僕は（キーマンは）戸井田選手だと思います。自分が戸井田選手と試合している映像を見ても、僕を疲れさせるのがすごく上手いので。でも植松選手は極めが強いし、宇野選手はスタミナがあるので、それで戸井田選手をどれだけ削っていけるか。戸井田選手がどんな作戦で戦うかだと思います。

——勝村周一朗＆伊藤盛一郎組に話を聞いたところ、タッグマッチはタッチワークが難しいと話していました。お2人はいかがでしたか？

太田　やはりタッチワークの難しさはあります。タッチが5回という制限された中で、いかにそれを最大限まで生かすかという切り替えの部分もありますし、あとは印象ですよね。4人で戦っている中で、いかに優勢に試合を進められるか。一人が捕まった状態でタッチで交代するのと、優勢に試合を進めているチームがタッチするのでは印象も違います。あとは流れの部分で、どちらのコーナーで多く戦うかなど、それがタッグならではの難しさかなと思いました。

牧野　その点、僕らはこの試合で悪いリズムではなかったと思うんです。テイクダウンやポジショニングでやられてしまったのが敗因だったんですけど（苦笑）。でも確かにやられそうになってタッチで逃げると、やられはしないんだけど印象は悪いなと思います。そういう駆け引きは確かにありますね。

——今回は残念な結果に終わりましたが、2人で再びタッグを組みたいという気持ちはありますか？

牧野　あります。あとは自分たちのエゴではなくて勝ったチームにはどんどん防衛戦をやってもらいたいと思います。トーナメントが終わって勝ち逃げされると困るんで…。

太田　第二代王者が決まってタイトルが凍結するともったいないので、年に何回かは防衛戦をしてもらいたいです。

牧野　僕らもタダで防衛戦をやれと言わないので、準優勝のチームとやって勝つとか、そういうものをクリアして挑戦したいです。でもタッグは面白いですよね。経験を積んでいけば、もっと練れた試合が出来ると思いますし。

太田　リングで勉強するのはよくないかもしれないですが、タッグの面白さや課題も分かったので、個人の力を上げつつ、タッグの練習もしてチームワークを磨きたいと思います。

牧野　でも今回の決勝戦はお客さんとして純粋に面白すぎるカードですね。戸井田選手と齊藤選手は癖があって愛嬌あるヒールみたいで（笑）、宇野選手と植松選手はかっこいい感じで、その両チームが戦ったらどんな化学反応を起こすか楽しみです。

太田　宇野選手と植松選手は超人タッグで、戸井田選手と齊藤選手は、牧野選手は愛嬌あるヒールと言っていましたが（笑）、戸井田選手が知将というチームでもあると思うんですよね。だから知力を持った戸井田選手が齊藤選手を使ってどう戦うか、楽しみです。

牧野　あと敵ながら”チーム首狩一族”のTシャツがかっこよかったんで、みなさんも戸井田さんから購入してみてください（笑）。

太田　次は僕らの”チーム・イケメン”Tシャツ作ります（笑）。