1月11日に行われた『プロ・アマGT-F(グラップリング)賞金争奪オープントーナメント』のフェザー級部門で、無念にも優勝を逃した牧野仁史。昨年の優勝者ながら、準決勝では戸井田カツヤに判定負けを喫する結果に。2月22日『ZST.44』では、同じく昨年のライト級優勝者で、今大会は準優勝となった太田裕之と対戦。GT-Fでの敗戦に同じ思いを抱える“戦友”同士の闘いに向け、牧野はいま何を思う?
【開催】2015年2月22日(日)
【大会】ZST.44
【時間】
開場14:00
第1部SWAT!バウト開始14:10 第2部本戦開始16:00
【会場】ディファ有明
──今日はやはり1月11日のGT-Fのお話から……。
牧野 (さええぎって)やっぱり、そっから聞かれますよね。
──スミマセン。牧野選手に黒星がつくというのは非常に珍しいことなので。
牧野 確かに、アイアム・イケメンは結果を出すことが全てですから。まあ、負け惜しみを言ってもしょうがないんですけど、(戸井田カツヤとの準決勝は)やられてる感もなかったし、ボク自身スランプ感もないんですけど、結果が伴わなかったのはメチャメチャ悔しいです。
──結果的には判定による黒星ということですが、闘った実感としてはいかがだったんですか?
牧野 多分、トイカツさんも同じことを思ってると思うんですが、紙一重の接戦だったんですよ。トイカツさんは、もともとはボクの大先輩で、自分としては前回グラップリングの試合で闘ったときより、数年間経験値を積んできたなりのことが試合に出せたと思うんですけど、やっぱり爆発力が出なかったということですね。
──なるほど。それにしても、結果を見て驚きました。
牧野 久々でしたから……。近年では、2年前に八隅孝平さん、佐々木憂流迦くんに判定負けを喫したというのがありましたけど。
──いずれも判定負けで、一本負けではないわけですね。
牧野 興行の中で、ボクが一本を獲られることはないですし、獲られそうなこともほとんどないですよ。だって、ボクはもう、一本負けしたら引退しようと思ってぐらいなんで。
──そうなんですか……?
牧野 そのぐらいの覚悟でやってるし、一本負けしたら生きていけないかもしれないですよ。それぐらいモロい感じになってしまうかもしれないですね。
──確かに、格闘家の負けというのは計り知れないものがある聞きます。どのスポーツよりも、選手にのしかかる責任や恐怖が大きいというか。
牧野 そう言われるのは、やっぱり男としてのプライドが完璧に崩されるというか、まさに屈辱だからですよね。ほかのスポーツだって、いろんなところで屈辱は味わうと思うんですけど、格闘家は少ない試合の中で、男同士が雌雄を決するわけですから。それで負けてしまうというのは、経験しがたい悔しさですよ。
──その、どん底に落ちた気持ちを、次の試合に持っていくときというのは、どういう切り替えをするんですか?
牧野 そうですねえ……。もう、サイヤ人みたいになるしかないでしょうね。
──サイヤ人ですか!
牧野 先ほども言ったように、アイアム・イケメンが一本負けしたら、死んじゃうということなんですよね。1月のGT-Fでは、そのスレスレまで持っていかれたというのは、相手が誰であれ、もんのすごく悔しい。その“屈辱パワー”みたいなもので、いま戦闘力が3倍になっているというのはあるかもしれないです。
──ちなみに、太田選手に話をうかがったところ、「牧野さん以外の選手と闘っても、GT-Fの負けを乗り越えて確変できない」とおっしゃってました。
牧野 なるほどね……。今日は「太田なんか知らねえ!」とか、すっとぼけようと思ったんですけど、業界の人にはボクらの関係性はすぐバレますからね。でも、ボクも太田さんと同じことを考えているかもしれないです。
──あらためて、お二人の関係性というのは?
牧野 太田さんは10年来の大先輩で、お互いにグラップリングで苦労してきた仲間という感じですね。単に練習を一緒にするだけでなく、ここ数年は一緒に強くなってきたという思いがあるので、戦友みたいな感情も芽生えてるというか。普段、太田さんとスパーリングすると、30分ぐらい平気でスパーリングしてることも多いんですよね。
──それは凄い!
牧野 噛み合いすぎちゃって、止められないんです。将棋をさしているような感じで、ダマされるまでに時間がかかるというか。
──じゃあ、その太田選手と闘うというのは複雑な感じがありますね。
牧野 いやでも、そういう仲間だからこそ、ナーナーな試合をしたら失礼だと思うので。それに、サイヤ人のように強くなるには、まずは戦友であれ誰であれ、ブッ倒してかないと。ちょうどいま、フィジカルトレーニングとかも順調に進んでますし、そういう意味では、キレッキレのアイアム・イケメンが仕上がるんじゃないかと思いますね。太田さんをビックリさせたいです。這い上がってきたサイヤ人は強いぞ、と。
──今回は“サイヤ人同士”の闘いというわけですか。ちなみに、牧野選手の今年の目標も聞かせていただけますか?
牧野 ズバリ、本戦全部一本勝ち。それでお願いします。
──おお~!
牧野 もう、それで吹っ切れるしかないです。何より、去年は引き分けが多すぎましたよ。だから「アイアム・イケメンがさらに進化してきたな」と思わせられるように、全選手をビックリさせたいです。今年は決定力重視で!